マナー&ルール

ゴルフと「ジーンズ」

2018年 04月 8日

★ゴルフの世界から嫌われている「ジーンズ」

日本だけでなく、世界中の多くのゴルフ場や競技規定のドレスコード(服装規定)で「ジーンズ」が禁止されています。ゴルフウェアだけでなく、ゴルフ場への入退場時の服装についても同様に禁止されています。もちろん規定ですので、遵守することは当然です。

他のスポーツにおいても「ジーンズ」をはいてプレーするといった競技はまずないでしょう。
しかし、最近ゴルフウェアとしてデニム素材を使ったストレッチパンツや綿素材のジーンズ風パンツなどが、エドウィンゴルフやマンシングウェアなどの有名ブランドから数多く販売されています。こうなると、どこまでが禁止の「ジーンズ」かどうかの区切りが分からなくなっても仕方ありません。

「ジーンズ=ファッション」「ジーンズ=街着」というイメージが定着している現代では、パブリックコースや一部のメンバーシップコースで「ジーンズOK」のゴルフ場が出てきましたが、まだまだごく少数です。

世界中でこれだけ禁止されているのですから、何か特別な理由でもあるのでしょうか?

 

★「ジーンズ」の誕生

ジーンズの歴史はアメリカの歴史とともに展開してきました。ジーンズのデニム素材はフランスで生まれ、イギリスで織物技術が発展し、アメリカでジーンズの原型が完成しました。

労働着としてのジーンズの誕生は1870年代のカリフォルニア・ゴールドラッシュにまでさかのぼります。

当時のズボンは作業中にすぐに切れてしまっていたので、労働者は丈夫なズボンを欲しがっていました。そこで、1873年に生地商人だった「リーバイス」の創業者リーバイ・ストラウスが、白い綿帆布にリヴェットを打った丈夫なズボンを開発して大人気となり、ジーンズの歴史が始まりました。その後、素材にデニムが使用されるようになっていきました。

リーバイ・ストラウス(Levi Strauss)

1900年代に入ると、当時流行していたカウボーイ映画の影響を受けて、それまでは労働着としてとらえられてきたデニムのズボンがファッションの一つとして定着していきます。そして1920年頃、「ジーンズ」と呼ばれるようになりました。リーバイス社の製品が世界に広まるのは1950年頃のことです。

 

★労働着からファッションアイテムへ

第2次大戦後、ジーンズは労働着としてよりも、マーロン・ブランドやジェームズ・ディーンといった映画スターの影響などにより、現在のような一つのファッションアイテムとして認識されるようになります。

1960年代後半、アメリカの文学界で異彩を放ち、当時の若者文化に大きな影響を与えた作家グループ「ビートニク(Beatnik)」の影響やベトナム反戦運動・公民権運動などの社会運動を背景としたヒッピー・ムーブメントがアメリカから起こります。彼らのヒッピーファッションには、「自由・反抗」の象徴ともなったジーンズが採り入れられました。

60年代から70年代のヒッピー、パンクなどのムーブメントを通して、デニム素材(ジーンズ)はアンチファッションのシンボルとなります。

しかしこのような流れの中でも、カルバンクラインを始めとして時代を表現しようとするファッションデザイナーに着実に影響を与えます。これまでのジーンズは労働着、反社会的なメッセージが強かったのですが、これに対して、デザイナーのジーンズは、美しさ、シルエットをいかにきれいに見せるかという点で「デザイン」されていたのです。ジーンズは、70年代後半から80年代半ばにかけてファッションデザイナーによって、急速に取り入れられていきます。

こうしたジーンズに対する意識変化はアメリカだけでなく、日本でも同様です。戦後の日本では労働着としてジーンズが定着していきました。1970年代以降は“反社会的運動”の学生運動が激しくなる中、ヒッピーファッションが流行し、女性も好んでジーンズを愛用、若者文化の象徴になりました。

このようにジーンズには、反体制の象徴、自由の象徴的なイメージ、誰もが持っていて大量消費的なイメージ、「色落ち」「汚れ」などヴィンテージを好むイメージ。その他ハイファッションの中にもすでに取り込まれ、ファッション性の強いアイテムとしての様相も持ち合わせている特異なアイテムとなりました。

このように様々な側面を持つジーンズは、ラフでカジュアルなボトムスとして、地位のある人々から嫌悪されてきたため、世界中のゴルフ場で禁止されてきたのかもしれません。

世界中のゴルフ場、及びゴルフ競技規定で定められている多くのドレスコードには「No blue jeans(ジーンズ不可)」と書かれています。「ブルーデニム」、「ブルージーンズ」に対する反ゴルフイメージは、特に強いのかもしれません。

 

★これからも「ジーンズ排除」を完遂できる?

ジーンズの歴史を見ると、ゴルフの歴史と相反する部分が多く、禁止されてきたことは理解できます。こうした歴史を目の当たりにしてきた年配者の方々が、「ジーンズをはいてゴルフに来るなんて」と眉をひそめるのも当然のことです。しかし、世代間のギャップがあまりにも大きすぎます。

紺ブレやジャケットに合わせてジーンズを履く人が数多くいます。ゴルフというスポーツがカジュアル化してきた今、ゴルフ場はこのルールをこれからも変わらずに徹底していくことはできるのでしょうか?

ゴルフの精神において、定められたルール、ドレスコードの遵守は当然のことではありますが、今の時代において、ある特定のゴルフ場を除いては、この「ジーンズ完全排除」のルールを完遂することは非常に困難なことだと思います。

市場環境も変わりつつあります。ジーンズの有名ブランドがゴルフウェアを販売していますし、ゴルフウェアとして、デニム生地のボトムスも売られています。そういう流れもありますから、一概に「ジーンズをはいてゴルフ場に来ないで」とは言えない時代になってきました。すでにジーンズOKのゴルフ場もあります。

しかし、さまざまな世代が一緒に楽しめるのがゴルフです。ゴルフ場は、お互いに違う感覚を持った人たちが集う社交場であり、他の人たちへの心配りが大切な場所です。時代が変わってきたとはいえ、ジーンズについてドレスコードで定められているのであれば、それを遵守することがエチケットの基本だと考えてください。

「ゴルフ場が毅然とした態度をとり、規定は守るものとして応対すればよい」という記述が誌面やネットに数多くありますが、多くのゴルフ場の現状を見ると少々無理な話です。

ゴルフ場だけでなく、ゴルフウェアのメーカー、プロゴルファー、アマチュアゴルファーの各々が心くばりをして柔軟に歩み寄る必要もあるのではないでしょうか。

デニム素材、またはジーンズ風のゴルフウェアが販売されている現在、「ジーンズ=ファッション」と思っている若い人に「ジーンズは何十年以上も前には作業着だったから」とか「1960年代から70年代にかけて、反体制をイメージしていたから」という理由だけで、禁止することはできないように感じます。

だからといって、チェーンをジャラジャラつけた「破れ」「汚れ」のダメージ・ブルージーンズをはいてくる若年ゴルファーがいると、世代間で理解し合えることは不可能です。

ゴルフ場などでも柔軟に対応できるように、『様々な価値観を持つ同好の友人に対する最低限の身だしなみとして、「色落ち」「破れ」の激しいデニムパンツは不可(特にブルージーンズはご遠慮ください)』などという規定変更は考えられるところではないでしょうか。

せっかく3世代が同じフィールドで楽しめるゴルフです。
世代間のギャップを取り除いて、みんなが楽しめるように工夫していきましょう。

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