★ゴルフ規則は誰が決めているの?
2019年1月1日に大改定されるゴルフ規則。
ドロップする高さが肩から膝に変わり、ボールを探す時間が5分から3分に変わります。そのほかスルーザグリーンがジェネラルエリア、ティーインググラウンドがティーイングエリアなどと名称も変更されます。また、グリーン上で自分のパットのラインに触れることが出来、スパイク マークを含む 如何なる傷の修復も許されるようになるのは 、多くのゴルファーが望んでいたルール変更が やっと 現実のものとなります。さらにグリーン上で 誤って ボールを動かしてしまうケースは 、理由の如何を問わず 無罰になる点も 大きな変更の一つでしょう。
これらルールの変更など、そもそも誰が決めているのでしょうか?
現在のゴルフ規則は、英国スコットランドのセント・アンドルーズに本拠地を構え、The Open(全英オープン)などを開催しているR&A(ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ・オブ・セント・アンドルーズ)と全米ゴルフ協会(USGA)が共同してつくっています。これが世界唯一の規則となっています。日本では、この規則を日本ゴルフ協会(JGA)が翻訳して発行しています。
2018年現在の世界共通のゴルフ規則は、計34条129項目からなっています。また、ローカルルールの参考例や競技の条件、クラブのデザインやボール、機器と他の携帯品などの用具基準、そして計10条32項目からなるアマチュア資格規則も合わせて、ルールブックに記載されています。
R&AとUSGAでは、「規則はその歴史的な原則に忠実であることが重要である」と考えられています。その一方で、「現在のゲームにとって、包括的に明確で適切なものでなければならず、罰は妥当なものでなければならない」とも考えられ、そのために規則を定期的に見直す必要があるとされ、そのため4年に1回、オリンピックの開催年に規則の見直しが何度となく行われてきました。そうした結果、規則は膨れ上がり、複雑に絡み合ってしまいました。それを2019年1月1日の規則大改定で整理しようということです。
そもそもR&AとUSGAが「規則はその歴史的な原則に忠実であることが重要である」と唱える「歴史的な原則」とはなんでしょうか?
ここでの「歴史的な原則」とは、全13条からなる最古のゴルフ規則にも定められている「あるがままの原則」のことを示していると考えられます。
★「13条ルール」の全内容
現存する最古のゴルフルールは、1744年にスコットランドのリースに創設された「ザ・ジェントルマン・ゴルファーズ・オブ・リース(現在のオノラブル・カンパニー・オブ・エジンバラ・ゴルファーズ)」が成文化した全13条からなるゴルフルールと言われています。
エジンバラ市で行われた「シルバークラブ競技」に備えて13条のゴルフルールが定められました。
当時のゴルフには、グリーンやティーインググラウンドの概念がなく、ホールアウトしたら、そのホールのすぐ横からティーショットをしていました。また市街地にコースがあったため、コース内に洗濯物が干され、荷馬車がフェアウェイを横切り、ときには軍隊が行進の練習に励むこともあったそうです。こうした事情を考慮すると以下の13条の情景が思い浮かびやすくなります。
第1条
ボールをティーアップする場合、ホールから1クラブレングス以内で行わなければならない。
第2条
ティーアップは地面の上に限る。
第3条
一度ティーから打ち出したボールは、他のボールと交換できない。
第4条
フェア・グリーン上にあるボールから1クラブレングス以内にある石、骨またはクラブに損傷を与えるものを取り除いてもよいが、それ以外は取り除いてはならない。
第5条
ボールが水中やぬかるみ、泥など汚物の中に入った場合は、自由に拾い上げて後方にティーアップし、任意のクラブでプレーすることができる。ただし、ボールを拾い上げたことに対し、相手に1打の優位を与えなければならない。
第6条
場所を問わず、ボール同士が触れ合ったとき、後ろのボールをプレーするまで、前にあるボールは拾い上げて待つこと。
第7条
パッティングは、ホールに向かって公正にプレーすべきであって、自分のライン上にない相手のボールを利用してプレーしてはならない。
第8条
ボールが誰かに持ち去られるか、あるいは何かの原因で紛失した場合、そのボールを最後にプレーした地点に戻って、他のボールをドロップしなければならない。ただし、相手に1打の優位を与えなければならない。
第9条
パッティングするとき、自分のクラブやその他の物を使ってパッティングラインの目印にしてはならない。
第10条
もしもボールが人、馬、犬あるいは何か他のものによって止められたとき、その止められたボールはあるがままの状態でプレーしなければならない。
第11条
ボールを打つためのストローク中、いかなることでクラブが破損したとしても、それは1打に数えられる。
第12条
ホールからもっとも遠くにボールがある者からプレーすること。
第13条
掘割、排水溝、水路、さらに子供が作った遊び用のトンネルや穴、兵隊用の塹壕(ざんごう)などはハザードとみなされない。これらに入ったボールは、取り出してティーアップしてアイアンクラブでプレーすること。
これが簡潔にして明快な「13条ルール」です。第10条の「あるがままの状態でプレーしなければならない(must be play’d where it lyes)」、この一文は脈々と現在まで受け継がれています。
★時代ととも増えてきたルール
この10年後の1754年に「セント・アンドルーズ・ソサエティ・オブ・ゴルファーズ」(のちのR&A)が創設され、その時クラブで定められたルールは、10年前の13条ルールがほとんどそのまま採用されています。
しかし、プレーする人が増えれば、奸計がはびこり、法の網の目をかいくぐる犯罪の増加とともに六法全書が厚くなるのは当然の摂理で、ゴルフも例外ではありません。
1802年には「セント・アンドルーズ・ソサエティ・オブ・ゴルファーズ」でのルールは17条となり、すでにR&Aとなっていた100年後の1902年には37条まで増え、さらにストローク競技のためのルールも別に16条定められています。
その後、1952年より、R&AとUSGAが統一でゴルフルールを施行するようになり、その時のルールブックは、現行のような第1章にエチケット、第2章に用語の定義、そして第3章に41条からなる詳細ルールという形になりました。そして1984年施行のルールから、多くなった条項を整理して現在の34条となりました。
※ゴルフ規則の変遷を掲載しているサイトはこちら
■参考文献 「ゴルフ、その神秘な起源」井上勝純:三集出版 「王者のゴルフ」夏坂健:日本ヴォーグ&スポーツマガジン社
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★ゴルフ規則は誰が決めているの?
2019年1月1日に大改定されるゴルフ規則。
ドロップする高さが肩から膝に変わり、ボールを探す時間が5分から3分に変わります。そのほかスルーザグリーンがジェネラルエリア、ティーインググラウンドがティーイングエリアなどと名称も変更されます。また、グリーン上で自分のパットのラインに触れることが出来、スパイク マークを含む 如何なる傷の修復も許されるようになるのは 、多くのゴルファーが望んでいたルール変更が やっと 現実のものとなります。さらにグリーン上で 誤って ボールを動かしてしまうケースは 、理由の如何を問わず 無罰になる点も 大きな変更の一つでしょう。
これらルールの変更など、そもそも誰が決めているのでしょうか?
現在のゴルフ規則は、英国スコットランドのセント・アンドルーズに本拠地を構え、The Open(全英オープン)などを開催しているR&A(ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ・オブ・セント・アンドルーズ)と全米ゴルフ協会(USGA)が共同してつくっています。これが世界唯一の規則となっています。日本では、この規則を日本ゴルフ協会(JGA)が翻訳して発行しています。
2018年現在の世界共通のゴルフ規則は、計34条129項目からなっています。また、ローカルルールの参考例や競技の条件、クラブのデザインやボール、機器と他の携帯品などの用具基準、そして計10条32項目からなるアマチュア資格規則も合わせて、ルールブックに記載されています。
R&AとUSGAでは、「規則はその歴史的な原則に忠実であることが重要である」と考えられています。その一方で、「現在のゲームにとって、包括的に明確で適切なものでなければならず、罰は妥当なものでなければならない」とも考えられ、そのために規則を定期的に見直す必要があるとされ、そのため4年に1回、オリンピックの開催年に規則の見直しが何度となく行われてきました。そうした結果、規則は膨れ上がり、複雑に絡み合ってしまいました。それを2019年1月1日の規則大改定で整理しようということです。
そもそもR&AとUSGAが「規則はその歴史的な原則に忠実であることが重要である」と唱える「歴史的な原則」とはなんでしょうか?
ここでの「歴史的な原則」とは、全13条からなる最古のゴルフ規則にも定められている「あるがままの原則」のことを示していると考えられます。
★「13条ルール」の全内容
現存する最古のゴルフルールは、1744年にスコットランドのリースに創設された「ザ・ジェントルマン・ゴルファーズ・オブ・リース(現在のオノラブル・カンパニー・オブ・エジンバラ・ゴルファーズ)」が成文化した全13条からなるゴルフルールと言われています。
エジンバラ市で行われた「シルバークラブ競技」に備えて13条のゴルフルールが定められました。
当時のゴルフには、グリーンやティーインググラウンドの概念がなく、ホールアウトしたら、そのホールのすぐ横からティーショットをしていました。また市街地にコースがあったため、コース内に洗濯物が干され、荷馬車がフェアウェイを横切り、ときには軍隊が行進の練習に励むこともあったそうです。こうした事情を考慮すると以下の13条の情景が思い浮かびやすくなります。
第1条
ボールをティーアップする場合、ホールから1クラブレングス以内で行わなければならない。
第2条
ティーアップは地面の上に限る。
第3条
一度ティーから打ち出したボールは、他のボールと交換できない。
第4条
フェア・グリーン上にあるボールから1クラブレングス以内にある石、骨またはクラブに損傷を与えるものを取り除いてもよいが、それ以外は取り除いてはならない。
第5条
ボールが水中やぬかるみ、泥など汚物の中に入った場合は、自由に拾い上げて後方にティーアップし、任意のクラブでプレーすることができる。ただし、ボールを拾い上げたことに対し、相手に1打の優位を与えなければならない。
第6条
場所を問わず、ボール同士が触れ合ったとき、後ろのボールをプレーするまで、前にあるボールは拾い上げて待つこと。
第7条
パッティングは、ホールに向かって公正にプレーすべきであって、自分のライン上にない相手のボールを利用してプレーしてはならない。
第8条
ボールが誰かに持ち去られるか、あるいは何かの原因で紛失した場合、そのボールを最後にプレーした地点に戻って、他のボールをドロップしなければならない。ただし、相手に1打の優位を与えなければならない。
第9条
パッティングするとき、自分のクラブやその他の物を使ってパッティングラインの目印にしてはならない。
第10条
もしもボールが人、馬、犬あるいは何か他のものによって止められたとき、その止められたボールはあるがままの状態でプレーしなければならない。
第11条
ボールを打つためのストローク中、いかなることでクラブが破損したとしても、それは1打に数えられる。
第12条
ホールからもっとも遠くにボールがある者からプレーすること。
第13条
掘割、排水溝、水路、さらに子供が作った遊び用のトンネルや穴、兵隊用の塹壕(ざんごう)などはハザードとみなされない。これらに入ったボールは、取り出してティーアップしてアイアンクラブでプレーすること。
これが簡潔にして明快な「13条ルール」です。第10条の「あるがままの状態でプレーしなければならない(must be play’d where it lyes)」、この一文は脈々と現在まで受け継がれています。
★時代ととも増えてきたルール
この10年後の1754年に「セント・アンドルーズ・ソサエティ・オブ・ゴルファーズ」(のちのR&A)が創設され、その時クラブで定められたルールは、10年前の13条ルールがほとんどそのまま採用されています。
しかし、プレーする人が増えれば、奸計がはびこり、法の網の目をかいくぐる犯罪の増加とともに六法全書が厚くなるのは当然の摂理で、ゴルフも例外ではありません。
1802年には「セント・アンドルーズ・ソサエティ・オブ・ゴルファーズ」でのルールは17条となり、すでにR&Aとなっていた100年後の1902年には37条まで増え、さらにストローク競技のためのルールも別に16条定められています。
その後、1952年より、R&AとUSGAが統一でゴルフルールを施行するようになり、その時のルールブックは、現行のような第1章にエチケット、第2章に用語の定義、そして第3章に41条からなる詳細ルールという形になりました。そして1984年施行のルールから、多くなった条項を整理して現在の34条となりました。
※ゴルフ規則の変遷を掲載しているサイトはこちら
■参考文献
「ゴルフ、その神秘な起源」井上勝純:三集出版
「王者のゴルフ」夏坂健:日本ヴォーグ&スポーツマガジン社
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